「市街化区域」と「市街化調整区域」は、日本の都市計画法に基づく区分で、土地の利用や開発に関する重要な区別です。どちらも都市の成長や生活環境の保護を目的としていますが、それぞれで土地利用の目的や制限が異なります。以下に詳しく説明します。
1. 市街化区域とは
市街化区域とは、既に市街地(住宅地、商業地、工業地など)として発展している、または今後10年以内に計画的に市街地として整備しようとする区域のことです。基本的に、都市の成長を促進する地域として指定されているため、住宅地や商業施設、オフィスビル、工場などの建築や開発が比較的容易に行えます。
特徴
- 開発が推奨される地域
市街地としての発展が望まれているため、一定の基準を満たせば建物の建築や開発が可能です。 - 用途地域が設定されている
市街化区域内は用途地域が細かく設定され、各地域に適した建築や土地利用が進められます。これにより、住宅地と商業地の分離や静かな環境の維持が図られています。 - インフラの整備が進んでいる
市街化区域では、道路や上下水道、電気、ガスといった都市インフラの整備が優先されるため、生活利便性が高いことが特徴です。
主な例
市街化区域には住宅地、オフィスビル、ショッピングモールなどが立地しやすく、都市部やその周辺に多く存在します。また、将来的に再開発や新しい住宅地の開発が進められるエリアも含まれます。
徳島県では徳島市中心地等の各市町中心地が多く該当します。
2. 市街化調整区域とは
市街化調整区域とは、都市の無秩序な拡大を抑制し、農地や自然環境を保護するための区域です。原則として、宅地開発や商業施設の建設などの市街化は制限されており、開発を行う場合は厳しい条件を満たす必要があります。
特徴
- 開発が原則抑制される地域
市街化調整区域は自然環境や農地の保護を重視しているため、原則的に建物の新築や開発が許可されていません。特に住宅地や商業施設としての利用は厳しく制限されています。 - 一部の特例を除いて開発が制限
農林水産業の施設や、地元の利便施設(小規模な店舗や公共施設など)に限って例外的に開発が認められる場合もありますが、非常に限られたケースのみです。また、許可が必要であり、手続きには時間がかかります。 - インフラ整備が遅れる傾向
開発が制限されているため、インフラの整備もあまり進んでいません。上下水道やガス、電気などの整備が整っていない地域も多く、日常生活の利便性は市街化区域よりも低いことが多いです。
主な例
市街化調整区域には、農地、森林、河川敷などが多く含まれます。また、景観や自然環境を保護する観点から、山林や水源地に近い地域も調整区域に指定されていることが多く見られます。
参考例
徳島市を参考例にすると、下記図の色が塗られたところが「市街化区域」白色となっているところが「市街化調整区域」です。
↑図をクリックすると拡大されます(リンク先:徳島市HP徳島市東部都市計画図 徳島市東部都市計画総括図 徳島市1/20000)
3. 購入時の注意点
市街化区域と市街化調整区域は、どちらも土地の利用方法や開発に大きな影響を及ぼすため、購入前に以下の点に注意が必要です。
- 市街化調整区域は将来的な開発が難しい
市街化調整区域は原則開発できないため、将来住宅を建てたい、商業施設を開きたいと考えている場合には適しません。また、転売時の価値も市街化区域と比べて低くなる傾向があります。 - 用途地域が設定されていない場合が多い
市街化調整区域には用途地域が設定されていないことが多いため、建築物や開発計画の自由度が非常に低くなる傾向があります。 - 市街化区域では再開発の可能性も
市街化区域では再開発の計画や建て替えが進むことがあるため、地域によっては今後の地価が上昇することも期待できます。 ただ、徳島県の地価平均は令和6年時点で26年連続下落しており地価の上昇はなかなか期待できないのが現状です。
4. まとめ
市街化区域は都市としての発展を促進するエリアで、自由な開発が可能なため、住宅や商業施設の建設がしやすい地域です。一方、市街化調整区域は都市の無秩序な拡大を防ぎ、農地や自然環境を保護することを目的としたエリアで、開発が制限されています。土地を購入する際には、将来の利用計画や環境を考慮し、区域区分をよく確認することが大切です。