地の「境界」とは、隣接する土地や道路との境目を示す線や標識のことです。境界線は、土地の所有権や利用範囲を正確に定めるために非常に重要なものです。土地の境界が明確でないと、隣地所有者とのトラブルや、建物の建設、土地の売買などに支障が出ることがあります。
以下に境界についての基本的な説明と、気をつけるべきポイントを紹介します。
土地の境界の種類
- 公簿上の境界
- 法務局に登録されている登記簿や公図に示されている境界です。土地の登記上の境界情報であり、土地の所有権や面積を表す基本資料となります。
- 筆界(ひっかい)
- 法的に定められた土地の境界で、土地の筆(登記上の土地単位)と筆との境目を示します。法的には変更できない境界であり、土地を分割したり合併したりしても、筆界はそのまま残ります。
- 現地の境界
- 実際に現地で確認できる境界で、境界標(杭、ブロック、フェンス、塀など)によって目印として示されています。現地での境界が隣地と合意のもと明確にされていると、トラブル防止につながりますが、現状の境界と登記簿上の境界が一致しない場合もあるため注意が必要です。
境界で気をつけるポイント
- 境界標の確認
- 境界標(境界杭、境界石、ブロック塀など)は、土地の範囲を目印として示しているため、現地を確認するときには必ず位置をチェックしましょう。境界標が見つからない場合や、損傷している場合は、測量士や土地家屋調査士に依頼して再確認を行うことをお勧めします。
- 測量図の取得と確認
- 土地の購入や建物の建設の際には、法務局で測量図や公図を取得し、実際の境界と一致しているか確認することが重要です。隣地との境界が不明確な場合や測量図と異なる場合、後々のトラブルの原因になることがあります。
- 隣地所有者との合意
- 隣地との境界が不明確な場合や、新しく境界標を設置する場合には、隣地所有者と合意を得て境界を確認し、共有しておくことが大切です。これにより、隣地との境界線を巡るトラブルを防ぎ、後々の証拠にもなります。
- 境界確認書の取得
- 境界を確定した際には、境界確認書という書類を作成し、隣地所有者と共有しておくと安心です。境界確認書は、境界を互いに認めた証明になるため、トラブルが発生した際に法的な証拠として使用できます。
- 土地売買時の注意
- 土地の売買に際しては、境界が明確でない場合に後で買主がトラブルに巻き込まれる可能性があるため、境界確定測量(筆界特定制度を利用する場合もあります)を行うことが推奨されます。境界の不確定な土地を売却する場合は、買主に対して事前に明確に説明する義務があります。
- 古い土地は特に注意
- 古くからある土地は、境界標が埋もれていたり移動している可能性があります。また、過去に土地が分筆・合筆されている場合、境界が不明確になっていることもあるため、専門家の調査を依頼した方が確実です。
境界に関するトラブルの例
- 境界のズレによるトラブル
境界が不明確なまま建物や塀を建てた結果、隣地に越境していた場合、境界確定が求められ、取り壊しや移動の費用負担が発生することがあります。 - 境界標の移動・撤去
境界標が意図的に移動・撤去された場合、境界が不明確になりトラブルの原因となります。境界標は基本的に移動や撤去が禁じられており、第三者が手を加えることは違法です。
まとめ
土地の境界は所有権や建築計画に大きく関わる重要な部分であり、正確な位置確認や隣地との合意が求められます。土地を購入する際には境界標や測量図の確認、隣地所有者との合意、境界確認書の取得を行い、将来的なトラブルを未然に防ぐことが大切です。専門家に依頼することでより確実な調査が可能ですので、曖昧な点があれば調査士や測量士に相談することをお勧めします。